祝結さんと幸せなシンデレラ

趣味
昨日は業務時間後に祝結さんと買い物へ行きました。
祝結さんがめいへお祝いのプレゼントをしたいが何を贈っていいかわからないとのことで、
その方の特徴と祝結さんの気持ちを聞いて、私なりにいくつか選んでみました。
その中から特に良いと思う1つを贈ることになりました。
祝結さんも大変満足されていて、お役に立てて良かったです。

買い物の後に個人面談をしてもらいました。
皆さんへしているという質問に答えた後は、昨日の続きの仕事の話になりました。

祝結さんが今までで一番印象に残っている式についてお聞きしました。
すごくお似合いの新郎新婦、参列者が号泣するエピソード、すごくお金のかかった式。

あ、そういえば、と言って8年前のある式のことを楽しそうに話し始めました。

ここで素敵なことが起こりました。

昔のことだけど、自分がまだ新人だったから印象に残っていて決して忘れられないだろう式のこと。
その式は50人分の料理を用意するお金もかかった大規模なものだった。
しかし、あろうことかアレルギーフリー料理を用意するはずが普通の料理が用意されてしまった。
さらに悪いことに、料理を用意したケイタリングの会社から来ていたのは経験の乏しい女子中学生。
料理は1種類なので取り違える心配もないから大丈夫と言われて手伝いで来ていたとのこと。
もちろんその女子中学生はオロオロするばかりで何もできなかった。
祝結さんは業務を通して築いたツテに片っ端から連絡をして、なんとか50人分の料理を用意した。
その女子中学生は極度の不安から解放された安心感で号泣してしまって対応が大変だった。
ともあれ、式は無事に進行し、喜びに包まれて終わったので良かった。
その女子中学生には悪くないと伝えて、将来の夢を語り合った。
お互い笑顔で別れて、とても印象的な式だったとのこと。

私は祝結さんへお聞きしました。
泣いているその女子中学生にどのような言葉をかけましたか。

君は悪くない。
私たちはここに訪れた全ての人を満足にして幸せにするためにいるんです。
最善を尽くすのは当然のことです。

たしかこんなことを言ったと思う、と祝結さんは恥ずかしそうに笑いました。

とても素敵なお話です。
でも、私は笑うことができていなかったと思います。
そのとき、私は別のことに耳を傾けていました。
運命の歯車が動き出す音が聞こえてくる気がしていたからです。

その女子中学生は紛れもなく私です。

私は思わず泣いてしまいました。
過去に私を助けてくれたこと、そのことを覚えていてくれたこと。
そして、今でも私を助けてくれていること。
感動と感謝で胸がいっぱいになりました。

この幸せな気持ち、この感謝をどこの誰に伝えていいのかわかりません。
わかっているのは、そのうちの1人は祝結さんだということです。
私は自分の運命に感謝しました。

どうしましたか、祝結さんは心配そうに声をかけてくれました。
祝結さんは悪くありません、心配しないでください、昔のことを思い出しただけです、そう答えるのが精一杯でした。

ポロポロポロポロ涙がこぼれました。
祝結さんはオロオロして困ったようす。
これ以上心配をかけたくない、でも、涙が止まりませんでした。

そのとき思いもかけないことが起こりました。

祝結さんが私の手をそっと両手で包み込んでくれたのです。
びっくりして涙が止まりました。
恥ずかしさと嬉しさとで胸がいっぱいになりました。

大丈夫ですか、そう声をかけてくれました。
はい、大丈夫です、そう答えました。

祝結さんにとっては辛そうな同僚を励ます気持ちだったとでしょう。
私にとっては王子様が手を差し伸べて舞踏会へ誘ってくれたように感じました。

それからのことはよく覚えていません。
私の目には幸せの風景しか映っていませんでした。
そこには常に王子様が優しく微笑んでいてくれました。
私も微笑んでいられたと思います。

気付くと家の前で、去りゆく祝結さんへ手を振っていました。
例えるなら、以前は召使いが私を守って迎えに来てくれました。
今回は、出逢った運命の王子様が馬車で私をお城まで大切に送り届けてくれたようでした。
部屋に入って時計を見ると23時を過ぎたところでした。
業務の準備をして、眠る準備をして、
ふとんに入る頃にはまもなく0時というところでした。

私はシンデレラになれたかもしれません。


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